失われていく伝統、文化について、歴史(もしくは歴史教育)について、過去と未来の比較についてなどのトピックはそこそこ出題頻度が高い。グローバリズムや産業発展に伴ってダイナミックに変容し、その価値に疑問を持つ人もいれば、もっと保護に尽力するべきという意見もあり、活発に議論されている(まさにhighly controversial)からであろう。具体的にはこのように出題されている
- Are the values of young people today different from those of previous generations? (2018-1A)
- Is a nation’s economic development more important than protecting its cultural heritage? (2018-2B)
- Should the study of history be a higher priority in modern education? (2017-2B)
- Do the values of today’s company employees differ from those of past generations? (2017-1B)
- Are family values today as important as they were in the past? (2016-3A)
昔の人と今の人の価値観は違うか? は答えやすそう。違うに決まってるじゃん! 私なら「モノからコト消費」「若者の○○離れ」的なことを言うね。
今日はこの中で複雑かつ難しそうなトピック「国の経済発展は文化遺産を保護するよりも重要か」を選び、いろいろ資料を集めてネイティブの先生と話し合った。今日は出産前最後の英会話レッスンで、これから2ヶ月間は出産&療養&新生児の世話のため休みます。
Is a nation’s economic development more important than protecting its cultural heritage?
Background
cultural heritageは有形 (tangible)と無形 (intangible)がある。
有形の例: 人工の建物(artificial architecture), 自然景観, 上記2つの混合, 町の景観(city landscape), 芸術作品など
無形の例: 言語、方言、音楽、食べ物、伝統工芸(traditional craft) ※伝統工芸は有形かもしれませんが、それを維持する情熱や技術に本質があるとおもい無形にしてみました。
文化保護と経済発展はいつも競合するとは限らない。(not always compete against each other / conflict with each other/ conflicting) このトピックで想定されている状況は、土地開発などを目的として貴重な文化遺産が次々と破壊されている地域(特に中国)であろうと推測される。
参考資料1:東北大学の講義資料?
参考資料2:万里の長城のほとんどが破壊されている実態
中南米(Central and South America)で、「良質な石灰石だから」という理由でピラミッドがブルドーザーにより破壊されていたという事実は衝撃的だった。
また、このトピックの模範解答にありそうな「文化を観光に利用すれば経済発展も同時に望めるであろう」という考えにも問題があることがわかった。観光客の好みに合わせて(to meet preference of tourists) 複雑な合唱形態が俗化してしまう(lose its original form, be distorted, be modified) という、破壊ではないが保護とも言えない結果になってしまう事例もある。
文化(もしくは文化遺産)が弱まる、あるいは消失する過程は多様なので一緒くたに論じるのは難しい。思いつくのはこのようなパターン
- 自然に、いつの間にかなくなる
- 自然災害、戦争などで一気になくなる
- (伝統工芸など)需要がない、後継者がいない、材料がない
- 地元民がその価値を知らずに壊す
- 土地開発、経済活動のために破壊される
- 異なる勢力によって意図的に制圧される(言語を規制されたり、教育カリキュラムを強制的に変えられたり)
こうやってみると、暴力的で批判の声が大きくなりそうなものから、ある程度はしょうがないと言えるものもある。基本的に文化遺産を守るかどうかは、地元民の判断を尊重するべきだと思う。(It’s up to local people) 彼らの意図に反して保護するのなら政府などの機関が財政負担を負うべき。
そもそも、全ての文化遺産を今後永遠に保護することは出来ない。世界が時の流れにつれて形を変えるのは当然のことだ。(It’s reasonable that the world changes its shape with the passage of time) 世界をそのままの形にしておくことは不可能だ。(It’s impossible to keep the world the same as it is.) かといってあらゆる文化遺産が破壊されているのを完全に野放しにしていいと言うわけでもなさそうだ。
ということでこのTopicに答えるのは難しいです。「経済発展と文化遺産保護が常に競合関係にある」という設定で話すなら、個人的には経済発展を推したいです。「文化遺産がたくさんあるけど不便で貧しい場所」「文化遺産はないけど発展して豊かな場所」どちらに住みたいか?と言えば後者だからです。でも以下のようなPro, Conの意見を並べてみると「文化遺産保護の方が大切」というスピーチも十分作れそうです。
Pro (economic development is more important)
+ to promote economy, it’s necessary to improve infrastructure.
+ every citizen has the right to seek for profit. We shouldn’t suffocate its needs to develop city.
+ It is natural that the world change its shape, repeating destruction and creation with the passage of time. It’s impossible to keep it the same as it was.
+ If the heritage doesn’t generate the profit, financial burden exists continuously, that can be the big waste.
Con (protecting heritage is more important)
+ It’s irreplaceable. Once the architecture or land scape is destroyed, it’s hard to recover.
+ Some heritages are destroyed without recognizing its cultural value. Sometimes local people aren’t aware of the treasure in their culture.
+ important as a historical record to learn about the past, establish our identity
+ Destroying important heritage can injure people’s pride, religious devotion, memories.
+ protecting heritage can be useful to attract tourists, promoting local economy.
+ technology development (for example, Artificial Intelligence, internet) can enable us to promote economy without skyscrapers, huge road.
こうしてみると、”Con”でありそうな「文化遺産は経済発展に利用できる」とか「経済発展のために必ずしも文化遺産を消す必要はない(テクノロジーが共存の道を開いてくれる: pave the way for coexistence)」という答えは模範解答によくありそうですが、厳密には「どちらがより重要か」という問いの答えになっていないので、苦しいかもしれない。
ちなみに ”AよりBを優先する” という表現がなかなか覚えられないのでここにメモしておきます。
stress A over B, prioritize A over B, place a priority on~, give higher priority to~
“over”ていう助詞が思いつかないのが難しさの原因では と思えてきた。
英検公式サイトに体裁された模擬スピーチで、似たようなトピックが採用されている。 こちらから見れます。
“Is tradition always worth preserving?”
模擬回答の構成は、具体例のセンスはともかくかなり現実的だ。「伝統はかならずしも保持する必要はない」と基本的に”Con”のスタンスをとりつつ、前半は「守ったほうが良い伝統の例」を挙げ、後半に「変えても良い伝統の例」を挙げている。全体的に中立な印象を受けるものの、グラグラしてない。英検のトピックは、現実的には簡単に白黒つけられないものが多いのでこういう構造のスピーチができたらかなり自然で良いだろう。
しかし、比較的中立的で、かつ構造がしっかりしたスピーチを本番で披露するのはかなり難しい。実際は1分で初めて見るトピックを選び、話す内容を考えなければいけないし、頭に浮かぶ内容を全て英語に変換する能力もない。なのでやはりワンサイドに偏った内容を話す方が私のレベルでは無難だと思う。
ちなみに、模擬テストの女の子は「季節の節目にたくさん行事がある」日本の文化を称えている割には「年賀状」と「お中元」を「労力の無駄、お金の無駄、環境に悪い、遅い、結局要らないものを送り合ってる」とバッサリ斬ってるのが笑える。



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